不動産マメ知識

意思表示総論

得するマメ知識 2011年8月29日

1 意思表示総論
 たとえば、売買契約が成立するためには、売主の「売る」という意思表示と、買主の「買う」という意思表示が合致することが必要です。
 意思表示が正常に行われたのであれば問題ありません。しかし、思ってもいないことが表示されたり、詐欺にあった場合などでは、その意思表示を完全に
 有効とするのは妥当ではありません。
2 心裡留保(93条)
 (1)心裡留保とは
  冗談や嘘のよう異なる一人で真意と(嘘偽の)意思表示をすることです。
 (2)当事者間の効果:原則、有効。
  相手が冗談や嘘を過失なく信頼している限り(善意無過失)、その相手方を保護するため、心裡留保は、有効です。
  逆に、相手が悪意又は有過失であれば保護する必要はないため、心裡留保は無効である。
3 通謀虚偽表示(94条)
 (1)通謀虚偽表示とは 
  相手方と通謀して虚偽の意思表示をすること。
  たとえば、租税滞納処分による差し押さえを免れるために、あたかも当事者間に売買があったかのように仮装の契約をするなどの行為が具体例です。
 (2)当事者間の効果:無効である
  当事者双方に法律行為を有効とする意思がなく、相手方を保護する必要もない為、無効です。
(3)第三者との関係
  善意の第三者には、虚偽表示による無効を対抗(主張)できません。
  善意の第三者を、虚偽の表示をした者より保護する趣旨です。
 (4)転得者がある場合

     仮装売買   売買  悪意   転売  善意
  1)A------B------C--------D

    仮装売買   売買  善意   転売  悪意
  2)A------B------C--------D
               第三者      転得者
   1)・2)のいずれの場合でも、転得者Dは保護されます(判例)
4 錯誤(95条)
 (1)錯誤とは
 勘違いして意思表示すること
(2)当事者効果:無効である
  法律行為要素(重要な部分)に錯誤がある場合は 無効です。ただし、表意者に重過失(不注意の程度がはなはだしい場合)がある場合には無効を主張することはできない
(3)第三者との関係
  善意の第三者に対しても無効を主張できる 要素に錯誤がある場合は 第三者より表意者を保護することになります。
(4)無効の主張権者
  無効は、誰でも誰に対しても主張できるのが原則ですが 錯誤の無効は勘違いした表意者を保護する制度であるため あえて表意者が無効を主張しない場合
  相手及び第三者は 原則として無効を主張することができない。(判例)